Windows 10は2025年10月14日にサポートが終了しました。それでも、業務の都合で入れ替えが終わらない端末が社内に残っている組織は珍しくありません。この記事では、残ってしまった端末をどう扱うかと、入れ替えを進める順序をどう決めるかを、認証の観点から整理します。
なお、ポリシーの一括適用についてはグループポリシーで固められる範囲で扱っています。本記事は入れ替えの順序と残存端末の扱いに絞ります。
入れ替えが終わらない端末が残る理由
遅れている組織が怠けているわけではなく、残る端末には共通した事情があります。
- 業務アプリが新しいOSで動かない — 生産設備の制御用ソフト、古い会計・業務パッケージ、専用機器の付属ソフトなど。提供元の対応待ちで自社では動かせない
- ハードウェア要件を満たさない — 端末自体を買い替えないと上げられず、台数分の予算が一度に必要になる
- 止められない時期がある — 繁忙期・決算期・工期中は端末に触れない。結果として「次の閑散期に」が繰り返される
- 誰の端末か分からない — 資産台帳が実態と合っておらず、そもそも残存台数が確定していない
4つ目が残っていると、他の3つを検討することもできません。台数と用途の確定が最初の作業になります。
残った端末が認証面で持ち込むもの
サポートが終わった端末の問題は「ウイルスに感染しやすい」だけではありません。認証の観点では、次の3点が実務上の影響として出てきます。
- 同じIDとパスワードが生き続ける — 端末が古いままだと運用も据え置きになり、共有アカウントや使い回しのパスワードがその端末に残ります
- 新しい認証の仕組みを適用できない — 認証を強化する仕組みは対応OSの範囲が決まっているため、古い端末だけ対象外として除外されがちです
- 除外の例外が固定化する — 「この端末だけは対象外」という扱いが一度決まると、そのまま何年も残ります
つまり、古い端末は認証強化の適用漏れが生まれる場所になります。ここが放置されると、他の端末をどれだけ固めても、社内には入口が1つ残ります。
順序を端末ではなくアカウントで決める
移行計画は「古い端末から順に入れ替える」で組まれることが多いのですが、この順序だと影響の大きい端末が後回しになることがあります。その端末で使われているアカウントの権限で並べ替えると、優先順位が変わります。
- 管理者権限を持つアカウントでログインしている端末
- ファイルサーバーの広い範囲にアクセスできるアカウントを使っている端末
- 社外から接続する経路(リモート接続・持ち出し)で使われている端末
- 上記に当てはまらない、限定された業務にのみ使われている端末
上の3つに該当する端末は、たとえ台数が少なくても先に処理する対象です。逆に4つ目は、後回しにしても被害の広がり方が限定されます。台数ではなく、その端末から何にアクセスできるかで決めるという考え方です。
残存端末を3つに仕分ける
すべてを同時に入れ替えられない前提で、残る端末を次の3つに分けます。分類が決まれば、それぞれで打つ手が変わります。
- 期限を決めて入れ替える — 業務上の制約が予算や時期だけのもの。入れ替え日を決めて、それまでの間だけ暫定対応を置く
- 業務ごと切り離して残す — 提供元が新しいOSに対応しない設備制御などで、当面入れ替えられないもの。ネットワーク上で分離し、他の業務システムやファイルサーバーに触れない状態にする
- 用途をやめる — 実際にはほとんど使われていない、あるいは代替手段があるもの。移行対象から外して撤去する
現場で最も見落とされるのが3つ目です。台数を数え直すと、移行が必要だと思われていた端末のうち一部は、そもそも使われていないことが分かる場合があります。撤去は最も確実な対策です。
2つ目を選ぶ場合、有償の延長サポートを使って更新を受け続ける選択肢もありますが、これは期限付きの時間稼ぎです。延長を選んだ時点で、その期限内に何をするかを決めておく必要があります。決めずに延長すると、期限が来たときに同じ議論を繰り返します。
入れ替えのときにしか手を付けられないこと
端末を入れ替える作業は、認証面の設定をまとめて見直せる数少ない機会です。稼働中の端末に後から適用するより、初期設定の段階で入れておくほうが手戻りが少ない項目があります。
- ローカル管理者アカウントの扱い — 全台同じパスワードを引き継がない。ローカル管理者パスワードの管理で扱っています
- 利用者に管理者権限を渡さない構成 — 後から権限を取り上げるのは業務影響の調整が必要になりますが、最初から渡さなければ調整は発生しません
- OSログイン時の認証方式 — IDとパスワードだけで入れる状態を、入れ替えのタイミングで変えておく
3つ目については、Windows PCやサーバーのログインに認証要素を追加する方法と選び方をWindows/Windows Server OSログインの二要素認証で解説しています。入れ替え計画を立てる段階で、この方式選定を並行して進めておくと、端末ごとに設定をやり直す手間が省けます。
まず、残存台数と用途を確定させる
この記事の内容はすべて、どの端末が何台残っていて、それぞれ誰がどの権限で使っているかが分かっていることを前提にしています。ここが曖昧なまま計画を立てると、移行が終わったあとに把握外の端末が出てきます。
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