Microsoft 365で多要素認証を全員に必須にする手順と、事前に潰すべき詰まりどころ

2026年8月公開 / 2026年9月更新株式会社アプリップリ編集部

Windowsのログインまわりのソフトを開発・提供している会社が、中小企業の情シス・総務担当の方に向けて書いています。

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    Microsoft 365 で多要素認証を必須にする作業そのものは、設定画面のスイッチを1つ入れるだけで済む場合があります。難しいのは設定ではなく、有効化した瞬間に止まる業務を事前に把握しておくことです。この記事では手順と、詰まりどころの潰し方を扱います。

    方法は2つあります

    セキュリティの既定値群条件付きアクセス
    費用追加費用なし上位ライセンスが必要
    設定の手間スイッチ1つポリシーを個別に作成
    対象の除外できないユーザー・アプリ単位で可能
    段階的な展開できない(全員一括)できる
    併用同時には使えません。既定値群を有効にしている間は条件付きアクセスを使えません

    まず押さえるべきは「除外ができない」点です。セキュリティの既定値群は全ユーザーが対象になり、例外を作れません。これが導入時に問題になる主因です。

    ライセンスの条件は契約内容によって異なります。条件付きアクセスが使えるかどうかは、管理画面またはライセンスの内容をご確認ください。

    有効化する前に潰しておくこと

    ここを飛ばすと、有効化した直後に業務が止まります。順に確認してください。

    ① 複合機・スキャナからのメール送信

    最も多い停止要因です。複合機のスキャン結果をメールで送る設定は、多くの場合ID・パスワードのみでメールサーバーに接続しています。

    多要素認証を必須にすると、この接続が拒否されます。「スキャンしてメール送信」が全社的に使えなくなります。

    対応としては、複合機を送信専用の別経路に切り替えるか、機器側が新しい認証方式に対応しているか確認する形になります。機種によっては対応しておらず、機器の更新が必要になる場合があります。

    ② 業務システムからの自動メール送信

    受発注システムや勤怠システムが、Microsoft 365 のアカウントを使ってメールを送っている場合があります。①と同じ理由で止まります。

    誰も設定を覚えていないことが多い箇所です。「システムから自動でメールが届いている」ものがあれば、送信元の設定を確認してください。

    ③ 古いバージョンのOutlook・メールソフト

    古い方式でしか接続できないソフトは、認証が通らなくなります。更新が必要になります。

    スマートフォンの標準メールアプリで社内メールを見ている場合も、設定の作り直しが必要になることがあります。

    ④ 共有メールボックス・代表アドレス

    「info@」「support@」のような代表アドレスを、共有のID・パスワードで複数人が使っている場合は、先に方式を変える必要があります。

    多要素認証は「本人が持っているもの」を使う仕組みなので、複数人が同じアカウントを使う運用と噛み合いません。誰の端末で承認するのかが決まらないためです。

    置き換えの進め方は 共有アカウントの廃止で扱っています。

    ⑤ スマートフォンを持っていない人

    認証アプリを使う前提だと、会社支給の端末がない人・私物の利用を拒む人が対象から漏れます。

    代替手段は スマートフォンを使わない多要素認証で扱っています。

    手順:セキュリティの既定値群を有効にする

    上記の確認が済んだら設定します。全体管理者の権限が必要です。

    1. Microsoft Entra 管理センター(entra.microsoft.com)にサインイン
    2. 左メニューの 「ID」 を開く
    3. 「概要」 → 「プロパティ」 タブ
    4. ページ下部の 「セキュリティの既定値群の管理」 をクリック
    5. 「有効」 に変更して保存

    有効化すると、全ユーザーが次回サインイン時に認証方法の登録を求められます。登録の猶予期間は設けられますが、最終的に登録しないとサインインできなくなります。

    周知を先に行ってください

    予告なしに有効化すると、問い合わせが情報システム担当に集中します。次の内容を事前に伝えておくと、負荷が大きく下がります。

    • いつから始まるか
    • 何を求められるか(スマートフォンでの認証アプリの設定など)
    • 設定にかかる時間(数分程度)
    • うまくいかない場合の連絡先

    緊急時に入れなくなる事態を避ける

    これは必ず考えておく必要があります。

    管理者が認証用の端末を紛失・故障させた場合、管理画面に入れず、設定を戻すこともできなくなります。

    対策として、

    • 管理者権限を持つアカウントを2つ以上用意し、それぞれ別の端末で認証できる状態にする
    • 認証方法を2種類以上登録する(アプリと電話番号など)

    セキュリティの既定値群では除外を作れないため、「管理者だけ対象外にする」という逃げ道はありません。複数の管理者アカウントで冗長化する形になります。

    有効化したあとに確認すること

    • 複合機からのスキャン送信が動くか
    • 業務システムからの自動メールが届いているか
    • 登録が完了していないユーザーが残っていないか
    • サインインの失敗が急増していないか

    2つ目は数日たってから気づくことが多い項目です。日次や週次で動くバッチ処理は、有効化の直後には現れません。

    ログの確認方法は 不審なログインの確認方法を参照してください。

    これで守れない範囲

    Microsoft 365 の多要素認証は、Microsoft 365 へのサインインを守るものです。次は対象外です。

    • PC本体へのWindowsログイン
    • 社内のファイルサーバーへの接続
    • Microsoft 365 と連携していない業務システム

    PCのログインパスワードが盗まれた場合、端末内に保存されたファイルは守られません。ここは別の手当てが必要です。

    WindowsのOSログインに二要素認証を入れる方法、 シングルサインオンの基本と限界で扱っています。

    よくある質問

    Microsoft 365 の多要素認証は追加費用がかかりますか

    セキュリティの既定値群であれば追加費用なしで有効にできます。ユーザーやアプリ単位で細かく制御する条件付きアクセスは、上位のライセンスが必要です。

    特定の人だけ対象外にできますか

    セキュリティの既定値群では除外を作れません。除外が必要な場合は条件付きアクセスを使うことになり、上位ライセンスが前提になります。

    有効化して業務が止まる可能性が高いのはどこですか

    複合機・スキャナからのメール送信です。ID・パスワードのみで接続している場合、有効化した時点で拒否されます。業務システムからの自動送信も同じ理由で止まります。

    有効化したあとに残る2つの宿題

    多要素認証を必須にしても、それだけでは閉じない経路と、新たに生まれるリスクがあります。有効化の作業が終わったら、続けてこの2つを確認してください。

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    この記事を社内で共有する

    設定の手順は分かりました。クラウドを固めたあとに残るのは、たいていPCへのログインです。そこがどうなっているかを10問で一覧にできます。

    入力必須の項目はありません。会社名も任意、会員登録も不要で、電話番号もお伺いしません。

    この記事を書いた会社

    株式会社アプリップリ / アプリップリキー

    アプリップリキーは、Windowsのログインをスマートフォンのワンタッチにする国産ソフトです。パスワードを覚えて打つ運用をなくし、誰がいつPCを使ったかを記録に残します。

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