「毎回この画面が出て邪魔だから切った」「業務システムが動かなかったので切った」——ユーザーアカウント制御が無効になっているPCには、たいてい理由があります。問題は、その理由が今も有効かどうかを誰も検証していないことです。ここでは、切ると実際に何が変わるのかと、切らずに済ませる調整を扱います。
この確認画面が止めているもの
Windows では、管理者アカウントでサインインしていても、普段のアプリは制限された状態で動いています。システム全体に影響する変更をしようとしたときだけ、権限を引き上げる必要があり、その直前に出るのが確認画面です。
つまりこの画面は「あなたは管理者ですか」と聞いているのではありません。「今この瞬間、この変更を意図しましたか」と聞いています。止めている対象は権限のない人ではなく、利用者が意図していない変更です。この違いが、無効にしたときの影響を左右します。
無効にすると何が変わるか
- 利用者が起動したものすべてが、最初から管理者の権限で動きます。メールの添付ファイルを開いただけの操作も同じ扱いです
- 不正なプログラムが権限を引き上げるときに、確認画面が出ません。気づく機会がなくなります
- 設定の変更が痕跡なく通ります。後から「いつ誰が変えたのか」をたどるのが難しくなります
「うちのPCは管理者アカウントで使っているから、どうせ何でもできる」という理解は正確ではありません。管理者アカウントであっても、この仕組みがある限り、昇格には利用者の同意という一段が挟まります。無効にするというのは、その一段を全部の操作から取り除く行為です。管理者権限を持つアカウントがどれだけあるかは管理者権限を持つアカウントを一覧で確認する手順で確認できます。
通知レベルの選び方
| 設定 | 通知される場面 | 評価 |
|---|---|---|
| 常に通知する | アプリの変更も、自分が行う Windows の設定変更も通知 | 最も安全。設定変更の頻度が低い一般利用者向け |
| アプリが変更を試みたときのみ(既定) | 自分の設定変更では通知しない | 推奨。ここを既定のまま維持する |
| 通知する(画面を暗くしない) | 同上。ただし他の操作を受け付ける状態のまま表示 | 画面を暗くする処理は表示の偽装を防ぐ意味があるため、理由がなければ選ばない |
| 通知しない | 通知なし | 実質的な無効。業務上の理由があっても、まず下記の代替を検討する |
「煩わしい」という訴えの多くは、既定より厳しい設定になっているか、そもそも管理者アカウントで日常業務をしていることが原因です。既定の設定で1日に何度も出るのであれば、通知レベルではなく使い方のほうを見直す局面です。
業務システムのために切っている場合
古い業務システムが確認画面と相性が悪く、やむを得ず切ったというケースがあります。この場合も、切る以外の道が残っていることがほとんどです。
- 導入時の判断が今も有効か確認する — 数年前の版で起きた問題が、更新で解消していることがあります。ベンダーに現行版での状況を確認します
- 書き込み先を変える — プログラムがシステム領域に書き込もうとしていることが原因である場合、データの保存先を利用者ごとの領域に変えるだけで解消します
- そのアプリだけを対象にする — 全体を無効にするのではなく、対象のアプリに限って管理者として実行する設定にします。影響範囲がそのアプリだけに閉じます
- 期限を切る — どうしても無効のまま使う判断をするなら、対象のPCを台帳に記録し、更新時期を決めます。記録がない例外は、そのまま恒久化します
組織全体で状態をそろえる
Active Directory 環境であれば、この設定はグループポリシーで一括して指定でき、利用者が個別に変更できないようにもできます。1台ずつ確認して回るのが現実的でない規模では、そろえてしまうほうが結果的に手間が少なくなります。グループポリシーで指定できる範囲と、そこで埋まらない穴についてはグループポリシーでできるアカウント関連の設定で扱っています。
なお、この確認画面はあくまでPC の内部で権限を引き上げる場面を止めるものです。そのPCに誰がサインインできるかという入口の話とは別の層です。両方が揃って初めて、盗まれたパスワードでの侵入と、侵入後の被害拡大の双方に手当てができます。入口側の考え方はWindowsのOSログインに2要素認証を導入する解説をご覧ください。
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