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2026年8月

PマークとISMS(ISO 27001)の違い|対象範囲・認証単位・認証要件の比較

取引先から認証の取得を求められたとき、プライバシーマークとISMS認証のどちらを取ればよいのかで迷うケースがあります。両者は似た文脈で語られますが、保護する対象も認証を受ける単位も異なります。この記事では違いを整理し、ID・パスワードの管理という観点から見たときにどこが変わるのかまで扱います。

まず結論:目的が違うので置き換えられません

大きな違いは「何を守る仕組みなのか」です。

  • プライバシーマーク:個人情報の保護に特化
  • ISMS認証:情報資産全般(個人情報も含む)の保護

ISMSの方が対象は広いものの、「ISMSを取ればPマークが不要になる」わけではありません。取引先が求めているのがどちらなのかで決まります。個人情報の取扱いを委託する場合はPマークを指定されることが多く、システム開発や情報の預かりではISMSを求められる傾向があります。

項目別の比較

項目プライバシーマークISMS認証
準拠する規格JIS Q 15001ISO/IEC 27001(JIS Q 27001)
守る対象個人情報情報資産全般
認証を受ける単位法人全体範囲を選べる(部門・拠点・サービス単位)
有効期間2年3年
期間中の審査更新時に審査毎年の維持審査+3年ごとの更新審査
認証機関JIPDECおよび指定審査機関複数の認証機関
国際的な通用性国内中心国際規格

実務上いちばん影響が大きいのは「認証を受ける単位」

Pマークは法人全体が対象になります。一部の部門だけを対象にすることはできません。全社で同じ水準の運用を求められるため、規模が大きいほど負担が増えます。

一方ISMSは範囲を選べます。特定のサービスや拠点に限定して取得することが可能です。そのため「まず対象を絞って取得し、後から広げる」という進め方ができます。

ここは負担の見積もりに直結します。取得を検討する段階で、この違いを踏まえずに工数を見積もると大きくずれます。

ID・パスワードの管理から見た違い

認証(ログイン)に関する要求の書かれ方が、両者で異なります。

Pマーク:技術を指定しない

JIS Q 15001は、リスクに応じた安全管理措置を講じ、見直すことを求める構造で、具体的な技術を名指ししません。「二要素認証を導入せよ」という条文はありません。

そのぶん自由度がありますが、「なぜその措置で十分と判断したのか」を自社で説明する必要があります。詳しくは Pマークで二要素認証は必須かで整理しています。

ISMS:管理策が一覧として示される

ISO/IEC 27001には附属書Aとして管理策の一覧があります。2022年版では組織・人・物理・技術の4つのテーマに分類され、全体で93の管理策が並びます。

この中にはアクセス制御、認証情報の管理、特権的アクセス権の管理といった項目が明示的に含まれます。適用しない管理策については、その理由を説明することになります。

つまりISMSの方が「認証について検討したか」を問われる形が明確です。Pマークは項目として並んでいない代わりに、リスク評価の中で自ら扱う必要があります。

どちらでも、実際にやることは大きく変わりません

書かれ方は違っても、実務として求められる中身は重なります。

そのため、一方を運用していれば他方の準備の大部分は流用できます。両方を取得する企業があるのは、この重なりがあるためです。

両方取得する意味があるケース

重複する部分が多いにもかかわらず両方を取得するのは、次のような場合です。

  • 取引先ごとに求められる認証が違う(個人情報の委託ではPマーク、システム関連ではISMS)
  • 海外の取引がある(Pマークは国内中心のため、国際規格が必要になる)
  • 個人情報以外の機密情報も預かっている(Pマークの対象外になる)

逆に、個人情報の取扱いが業務の中心で、取引先も国内であれば、Pマークだけで足りることが多いです。負担が二重になるため、必要性を確認してから判断する方が無駄がありません。

選び方の目安

状況向いている認証
個人情報の取扱いを受託しているプライバシーマーク
対象を一部の部門・サービスに絞りたいISMS認証
海外の取引先に示す必要があるISMS認証
個人情報以外の機密情報も扱うISMS認証
取引先から名指しで求められている指定されたもの

最も確実なのは、取引先に「どちらを求めているか」を確認することです。一般論で選ぶより早く、取り違えによる無駄も防げます。

よくある質問

ISMSを取得すればPマークは不要ですか

対象範囲は広くなりますが、置き換えにはなりません。個人情報の取扱いを委託する取引ではPマークを指定されることが多く、求められている認証が何かで決まります。

Pマークは一部の部門だけで取得できますか

できません。法人全体が対象になります。範囲を限定して取得したい場合はISMS認証を検討することになります。

両方取ると審査の負担は2倍になりますか

アカウント管理やログの運用など重なる部分が多いため、単純に2倍にはなりません。ただし審査の日程や維持の手続きは別に発生します。

Pマーク側の費用構成と期間の目安は Pマーク取得の費用と期間で整理しています。

自社の対応状況を確認するには

どちらの認証でも、ID・パスワードの管理は共通して問われる領域です。applippliの無料診断では、約3分の質問に回答するだけで、ID・パスワードに関連する対応状況を5段階で判定し、結果をPDFレポートでお届けします。個人情報の入力は不要で、会員登録もありません。取得や更新の検討を始める前の現状把握にお使いいただけます。

参考・出典

※ 本記事は2026年8月時点で公表されている情報に基づく一般的な解説です。制度の詳細や審査の運用は変更される場合があります。個別の判断については、審査機関・認証機関の案内をご確認ください。

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